障がいのある学生のためのWEB仕事理解チャンネル2024(GATE-C)レポート
2022年9月11日、障がいのある2024年卒業予定の学生を主な対象としたオンラインプログラム「障がいのある学生のためのWEB仕事理解チャンネル2024(GATE-C)」を開催しました。
NTTドコモ、資生堂、ソニーグループ、トヨタ自動車、日本放送協会(NHK)の5社を迎え、働くことのイメージを具体的にしていくことを目指した本プログラムの開催レポートをお届けします。
プログラム概要
<参加学生>
当企画にご賛同いただいた大学に在籍している、Zoomでの参加が可能な障がいのある2024年卒業予定の学生※
(障害者手帳所持、申請中もしくは申請を考えている方):34名
※全学年参加可能
<参加企業>50音順
株式会社NTTドコモ、株式会社資生堂、ソニーグループ株式会社、トヨタ自動車株式会社、日本放送協会(NHK)
<賛同大学>50音順
青山学院大学、大阪大学、香川大学、関西大学、高知大学、国際基督教大学、静岡大学、上智大学、津田塾大学、東京大学、東京理科大学、同志社大学、徳島大学、鳥取大学、奈良女子大学、日本女子大学、一橋大学、広島大学、法政大学、明治大学、山形大学、山口大学、立教大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学
<プログラム>9時30分〜17時20分
1. オープニングセミナー:本日のねらい・目指したいこと/障がい者雇用の現状
2. 参加企業によるリレー講演
・日本放送協会
・株式会社資生堂
・トヨタ自動車株式会社
・ソニーグループ株式会社
・株式会社NTTドコモ
3. クロージング・セミナー:本日のふりかえり
4. フリータイム
オープニングセミナー(30分)
まず、オープニングセミナーとして、事務局から、今回のプログラムのねらいと、障がい者雇用の現状について説明しました。
今回のプログラムのねらいは、次の3つです。
・企業や社会人の多様な考え方や選択肢を聞いて、「では、自分は?」と考えるきかっけにしてほしい。
・「もしかしたら間違っているかもしれないこと」であっても、遠慮なく自由に言い合える雰囲気を目指そう。皆さんが知りたいことは、ほかの参加学生も知りたいこと。
・これから話す障がい者雇用の現状や、参加企業によるリレー講演から得た情報をふまえて、自分はどんなキャリアを歩んでいきたいか、ぼんやりとでもいいからイメージしよう。
「働ければどこでもいい」ではなく「こういう仕事がしたい」というイメージを持つことで、有用な情報が集まりやすくなります(カラーバス効果)。障がい者雇用に関する情報はまだまだ少ないのが現状のため、キャリアイメージを持つことで情報がより集まりやすい状態にしてほしいというメッセージを伝えました。
続いて、障がい者雇用の現状について、雇用企業が増えている現状とその背景、法定雇用率達成企業の割合、「一般採用」と「障がい者採用」それぞれのメリット・デメリット、特例子会社などについて説明しました。
参加学生の声
・企業講演の何に重点を置いて話を聞くとよいかわかった。
・カラーバス効果と特例子会社について初めて知リ、ためになるセミナーになりそうだと感じた。
・障がい者 雇用の現状についてのデータに触れた機会がなかったので聞けてよかった。企業側からの説明ではなかったため、障がい者雇用の「現実」に向き合うことができた。
参加企業によるリレー講演(各50分):日本放送協会(NHK)、株式会社資生堂、ソニーグループ株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社NTTドコモ
続いて、本プログラムのメインイベントである参加企業5社によるリレー講演です。各社50分ずつ、参加学生との質疑応答を交えながら、次の内容を中心にご紹介いただきました。
講演内容
・業界・会社説明
-直近の業界の動向
-自社のビジョン・強み・事業内容
-今後に向けた取り組み など
・障がい者雇用の基本的考え方(方針)
・障がいのある社員の働き方、仕事内容
-業務内容
-仕事のやりがい
-働く環境や周りの同僚の意識
-就職活動当時の様子 など
・上記のための配慮・背景
すべての企業の講演において、質疑応答の時間を設け、参加学生からはチャットを通じてさまざまな質問が挙がりました。
参加学生からの質問
・採用選考は障がいの有無にかかわらず一緒に行うということだったが、選考の中でどのように個別の配慮や障がいの程度などを把握していくのか?
・精神面や感覚過敏、仕事の進め方などで配慮が必要な社員がいる場合、どのような配慮をしているか?
・障がいの内容やしてほしい配慮などはどの程度職場内で共有されるのか?
・仕事をやっていて大変だと思うことは何か?
・リモートワークとオフィスワークの割合を教えていただきたい。
・配属先の希望を出すことはできるか?
・就職活動をしている中で、障がいのある人への配慮具合を重視したのか、企業理念に重きを置いていたのか教えていただきたい。 など
参加学生の声
・障がいに関わる番組制作だけでなく、社内でも障がい者の働く環境づくりに力を入れていることがわかった(日本放送協会の講演に対して)
・障がい者の職務開発を行うなど働きやすい環境を整えていることから、障がいのある社員に対して本気で期待して応援するという姿勢が伝わってきた。(資生堂の講演に対して)
・ImpossibleをI’m possibleにするという点に好感をもてた。また、障がいのある社員の方の1日のムービーなど、現場のリアルを見ることができたのがよかった(トヨタ自動車の講演に対して)
・人事の方と障がいのある社員の方とのセッションという形で、フランクな社風が伝わってきた。また、学生に寄り添った立場でのお話の仕方がよかった。「障がい者雇用率達成のために採用されるのは嫌ですよね」という発言がとても印象的だった(ソニーグループの講演に対して)
・障がいがある社員の方のお話で「誰もがチャレンジできる社会」「移動の自由」など、ご自身の障がいからキャリアを考えていらっしゃるところが大変勉強になった。自身の障がいから、改善できそうな社会の部分を考えることも楽しいなと思った(トヨタ自動車の講演に対して)
・研修制度が充実していることとリモートワーク中心の働き方ができることで、柔軟な働き方や将来設計ができそうだと感じた(NTTドコモの講演に対して)
クロージング・セミナー(30分)
最後に、情報を聞きっぱなしにするのではなく、整理することで自分のものにしてほしいという意図で、事務局からクロージング・セミナーを行いました。クロージング・セミナーでお伝えしたのは次の4つです。
・障がいのある人の採用選考において採用担当者が気になる点(4つ)
・上記をふまえて、応募にあたっては、「何ができるのか」「どのような障がいを持っているのか」「どういう時に困るのか」「どのようなサポートが必要か」を自分から伝えよう。これらを適切に伝えるには、自己分析が大事。
・自分が見聞きし、体験した情報に基づき、自分にとって良い企業かどうかを判断しよう。
・改めて、今日得た情報をもとに、どんなキャリアを歩んでいきたいか、ぼんやりとでいいのでイメージしてみよう。
そして最後に、この日の学びを自分自身に落とし込むために、感想や学んだこと、気づいたことを言語化する時間を設けました。
参加学生の声
・クロージング・セミナーがないままだとインプットして終わりだったので、アウトプットする場があったのが良かったです。また、今回得た情報をどのようにして生かすのかもわかりました。
・企業が就活生の何を見ているのかをまとめていただいたので、この視点を意識して、今後取り組もうと思った。
また、プログラム終了後、フリータイムとして学生同士がコミュニケーションをとる時間を設けました。
参加学生の声
・同じような不安を抱えている人がいることを知り、自分だけではないと安心できた。
・同じ境遇の学生とざっくばらんにお話ができ、仲間ができた。孤独だと思っていたけれども、このようにして輪が広がったのがとても嬉しかったです。
・いろいろな障がいを持っている方と話し、情報交換をすることができた。就活を進める仲間ができたように思えて心強かった。
学生の皆さんには、今後もさまざまな企業の情報を得ながら、やりたい仕事は何か?どんなキャリアを歩んでいきたいか?などについて考え、自分に合う企業や仕事、働き方を見つけていただきたいと思います。
最後に、プログラム終了後にいただいた、参加学生の声を紹介します。
参加学生の声
・障がいの種類や有無でなく、自分のやりたいこと、大切にしていることを重要視して就活を進めるべきだと感じた。
・企業が障がい者に対してどのような価値観を持っているのかを知ることのできる貴重な機会になりました。
・5つの企業の話を聞いて、企業によっていろいろとやり方が異なるということが学べてよかった。
・結局のところ、一般的に言われている各個人と企業とのマッチングが重要であると思いました。
・まだリサーチが全然足りない状態で悩んでいるので、頭ではなく手を動かして調べ、インターンや説明会に足を運んでみようと思いました。
・障がい者、健常者を問わず、自分の思うキャリアを形成できるという希望を持てました。